2014年12月5日金曜日

第75回「犬たちからのお願い」

今日は私たち犬から、犬をこよなく愛する人間のみなさんに「犬から切に思うお願い」というメッセージを送ります。少し厳しいことを話すかもしれませんが、私たち犬がみなさんと素晴らしい関係でいたいから伝えたいこと。その辺りをどうぞ理解してください。

お願い① :犬が大好きでも、決して衝動的に犬をゲットしないでください。犬と暮らすということは決して容易なことではありません。自分の生活のあらゆるものを犠牲にし、選択をしていかなければならなくなります。またお金もかかります。飼う準備が出来ているかしっかり考えて決断してください。もし犬と暮らすと決めたら、次はじっくり選択してください。流行ってるからとか、見かけが良いからとかでなく、自分のライフスタイルに合った犬種と性格を重視してください。また、簡単で便利だからとペットショップやオンラインで売ってる仔犬を買わないでください。パピーミルという酷い仔犬生産工場を奨励することになり、そこで可哀相な思いをしている犬たちを益々増やすことになります。周りの人や専門家に相談したりして、じっくり、ゆっくり犬探しをしてください。世の中には、1日も早く自分の家族と巡り会いたいと待っているホームレス犬が大勢いることも忘れないでください。

お願い② :私たちはぬいぐるみのおもちゃではありません。「当然でしょ」ですか?街で私たちをぬいぐるみのおもちゃ扱いしている人をよく見かけます。犬を「可愛いぬいぐるみ」のように捉えるのは人間だけです。犬同士は見かけの可愛さなど一切関係ないのをご存知ですか? 私たち犬同士で大切なのは、お互いの社会性や力関係です。見かけだけで「あの犬可愛い!」と考える犬は1匹もいません。犬は犬。5パウンドの小型犬も、130パウンドの超大型犬も、同じ犬という動物です。小さいからとおもちゃ扱いにしたり、甘やかし過ぎたりしないでください。躾や十分な運動を含め、犬として必要なことを与え、マナーある立派な犬に育ててください。

お願い③ :犬を愛するなら、どうぞ犬のことを勉強してください。私たち犬は周りの人間のことを毎日一生懸命勉強しているんです。どうすれば人間と上手くコミュニケーションが取れるんだろうと必死です。多くの人が私たち犬のことを十分理解していると勘違いしているように思います。また、犬のことを擬人化して考える人がいます。残念ながらどんなに愛し合っていても私たち犬と人間は同じ動物ではありません。そこをしっかり分かってください。違う動物だから面白いということが一杯あるはず。犬という動物を楽しんでください。

お願い④ :一度犬を飼うと決めたら、最後の最後まで面倒をみてください。「そんなこと当たり前」と言っている人でも、生活の変化があったり、気が変わったら私たちを簡単に手放してしまう人がいます。また、私たちが年老いて、最期を見届けるのが辛いと考える人もいます。でも、私たちが頼れるのは飼い主だけなんです。一生を共にした私たちの最期まで付き合ってください。犬としてそんなに嬉しいことはないのです。

私たち犬は人間が大好きです。だからこれからもずっとずっと仲良くしてください。

次回は、「愛犬と大陸横断」と題し、今年のビッグ・イベント、愛犬ノアとの「車でアメリカ大陸横断の旅」の体験記をお届けします。お楽しみに!


わたしたち犬からのお願いです

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てらぐちまほ:在米26年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project (www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。今は、15年住み慣れた東海岸を離れ、愛犬ノアとLAに移転して活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com