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2018年3月8日木曜日

最終回「闘う」

犬と人間の快適な生活のためにと7年5カ月休まず書き続けてきたこの「ドギーパラダイス!」も、今回で終止符を打つことになりました。最終回は、何か記念になることを書いて……と考えていたそんな折に不意の出来事が起こりました。愛犬ノアが、悪性リンパ腫を患っていることが発覚したのです。今回は、そんなノアと私の闘いのお話です。

間一髪

 去年の夏、ノアのあごの下に小さなシコリを見つけました。その時は大事扱いせず、様子を見ることにしました。秋に予防注射で病院に行った際、触診で獣医師がノアの鎖骨辺りの両側にもシコリがあることを発見。位置的にリンパの病気の疑いが強いと。炎症性の可能性もあるので一旦抗生物質で様子を見ましたが、まったく小さくなる兆しがなかったため、細胞診を行いました。結果、悪性リンパ腫の可能性が高いと言われました。ノア自身はいたって普通で、まったく病気らしい素振りを見せていなかったため、予防注射で訪れた専門家の触診で間一髪での大病の発見となりました。発見が少し遅れていたら、あっという間に酷い時点まで進行し、具合が悪くなって急いで病院に駆け込むという形になっていたかもしれません。

素早い行動と対処

 リンパ球は全身を循環するため、短期間で体全体を冒してしまうので素早い行動と対処が必要でした。即、がん専門医に診てもらうことに。やはり、ステージ3の悪性リンパ腫でした。犬のリンパ腫の治療法に手術という道はなく、抗がん剤を使った化学治療のみ。もし、抗がん剤治療をしないなら、ステロイドで炎症を和らげながら、ホスピス・ケアしかありません。その場合はがん細胞が急速に進行して全身の臓器に障害を起こすため、余命は1〜2カ月くらいと言われました。
 まったく自覚症状なくいつも通りに暮らす愛犬を目の前にしての余命1〜2カ月の宣告。頭が真っ白になりました。何も知らず、毎日のほほんと暮らしている愛犬です。心臓が引き裂かれる思いでした。「でも、私たちには化学治療という道がある!」。治療費は、目が飛び出る程の高額ですが、お金はどうにでもなること。すぐに抗がん剤治療を始めることにしました。ここで学んだのは、愛犬の体・体調に「うん?」と思うようなことがあれば、素早く行動を起こすこと。
 犬の一日は人間の数倍に値します。一日延ばしたために手遅れにならないように気をつけなければいけません。また、飼い主も普段から犬の病気についてある程度の知識を身につけていること。何か起こった時、知識があれば賢い判断と対応をしやすいです。そして、意見を聞き、信頼できる支えを周りに持っていることは大変な強味です。

病は気から

 今、ノアと私は毎週近くのCancer Centerに治療に通っています。幸い、リンパ腫は抗がん剤治療が大変良く反応するということ。確かに、一回目の治療の後すぐに腫瘍が小さくなり、担当医も「よし!」と結果に満足していました。また犬の場合は、抗がん剤の強い副作用が出ることは稀らしく、ノアも今のところ副作用で悩まされていません。抗がん剤治療のみならず、いろんな角度から、がんになんか負けないぞ! と親子で一生懸命闘っています。目の前に現れる課題を冷静に一つひとつ対処し、常に前向きな姿勢でこの恐ろしい病気とがっつりぶつかる。そして、毎日を笑い一杯、愛一杯で楽しく過ごすことがノアへの「最強の薬」になると信じています。

長い間ご愛読ありがとうございました!
Photo © Maho Teraguchi

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てらぐちまほ:在米29年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com


2018年1月5日金曜日

第111回「おしっこ・うんち」

愛犬のおしっこやうんち、日頃からきちんと観察していますか? 排泄物は、犬の健康状態を示す大切な信号です。飼い主は、普段から愛犬の排泄状況や出た物の状態をチェックし、何か変化があれば、すぐに気がつけるようにしていることが大事。今回は、飼い主として知っておきたいおしっことうんちのお話です。

健康のバロメーター

体の調子が悪くても、言葉で説明できない愛犬の健康状態を知るために、排泄する時の行動や排泄物は指標になります。普段から、愛犬の排泄の回数、仕方、量、色、臭いなどに着眼しておきましょう。異常を発見するために覚えておきたいのは、急に排泄の回数が上下するなどの変化を見つけることです。また、出したいのに出せないで困ったり、苦しそうにしたり、悲痛な声を上げたりしたら要注意。
しっかりとしたうんちがたっぷり出たから良い! というわけでもなく、たくさん出ているということは食べ過ぎのサインでもあり、また、食べたものにいらないものが多く含まれていたという意味になります。体に良いものを食べていると、うんちの量が大量になることはありません。食べ物の質を見直して、うんちの量の変化を見てみるといいでしょう。同じ食べ物を食べさせていると、おしっこやうんちの色も臭いも一定のはずですが、もし色や臭いに変化があったり、異常を感じたりしたら、現物を持参して専門家に診てもらうのが良いでしょう。
愛犬ノアがまだパピーだった頃、ちょっと目を離したすきに、容器に一杯入ったワセリンをほぼ全部舐めてしまったことがありました。すると大変な便秘に……。とにかくうんちが出せない。しゃがんではいきむのですが、何も出てこない。ノアも私も焦って困り果てました。色んな人の意見を参考に、ヨーグルト、繊維の多い果物や野菜を一杯食べさせ、とにかく体を動かしました。すると、やっとのことで変な色のうんちが出て、一件落着。今では笑い話ですが、異物を食べて命を落とす犬もいるので、愛犬が食べてはいけないものを口にしてしまわないよう十分気をつけましょう。

犬の連絡網

散歩中の犬の排泄方法を見ていたら、犬のおっしこやうんちが「体に不必要なものを排泄する行為」だけではないことが分かります。犬は、くんくんと地面や木や電柱などの臭いを嗅ぎ、排泄する場所選びに多いに時間を費やします。また排泄の回数ややり方(オスの場合、足の上げ方)など排泄にこだわりも示します。それは、犬たちが自分の排泄物を使って仲間たちとコミュニケーションを取っているからなのです。犬は、他の犬の排泄物の臭いで「いつ」「だれが」「何を食べ」「どんな健康状態で」「どんな精神状態であるか」などが判断できます。また、人間にとってはどうでもいいような排泄の場所や位置選びは、犬の間ではとても重要な意味をなします。そのため犬たちは一生懸命地面などの臭いを嗅ぎ、情報収集します。自分たちの排泄物の臭いが見えない相手との「会話」なのです。排泄した後に土を蹴る行為も同じような意味があります。地面を蹴ることで足の裏から分泌物を出し、それをまき散らして自分の領域表示をします。また、メス犬は発情期には、自分の排泄物で周りのオス犬たちに発情していることを連絡します。ただし、臭い嗅ぎが犬にとって大切な行動だからと、散歩中、終始犬に主導権を渡し、したいようにさせていいというわけではないので誤解のないように。
深い意味がいっぱい詰まった犬のおしっことうんち。これからの散歩で愛犬の排泄を観察し、学んでみると愛犬との生活が一層楽しくなると思います。
次回は「犬の毛色」と題し、細かく分けられている犬の被毛の色についてのお話です。お楽しみに!

“ピーメール”でご近所の仲間に連絡中の著者の愛犬ノア
Photo © Maho Teraguchi

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てらぐちまほ:在米29年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

2016年6月4日土曜日

第92回 『BSL(特定犬種規制法)』

幸い、私は生まれてこの方、自分自身のことで極度の差別を受けた経験がありません。しかし、16年前にピットブルのジュリエットを飼い始め、間接的とは言え、初めて犬種差別による苦悩を痛切に体験することになりました。それは、今日に至っても同種のノアとの暮らしで続いています。今回は、特定の犬種への理不尽な差別と、それらの犬種を規制するために存在する法律についてお話しします。

「撃ち殺すぞ!」

 愛犬ノアがパピーだった頃の話です。道で小さい女の子がノアを触りたそうにしたので、ノアは喜んで遊ぼうとしました。すると女の子の手を握っていたお父さんが「一歩でも近づいたら警察を呼ぶぞ!」と真っ赤になって私に怒鳴りました。その後も、その男の人はものすごく汚い罵声を放ち、女の子の手をぐいっと引っ張って去って行きました。
 最近も同じようなことがありました。芝生を臭い嗅ぎしていたノアと私の方に家族が歩いてきました。すれ違う時、男の人が「そんな危険な犬を近づけるな」と言いました。私には彼が言う「危険な犬」がノアとは思えなかったので、そのまま歩くと、男の人はものすごい声で「お前の犬を撃ち殺してやるぞ!」と言いました。私は恐怖で震えノアを連れて大急ぎでその場を立ち去りました。
 この16年間、同じようなことを何度も体験しています。「犬としての性質」でなく、ピットブルという犬種の作られたイメージだけで偏見視され、酷い扱いを受け、非常に悔しい思いをしてきました。 

犬のホロコースト

 アメリカをはじめ世界にはBSL(特定犬種規制法)というものが存在します。一部の行政区が、危険とみなした特定の犬種の飼育の規制や禁止をする法律です。飼育禁止犬種というだけで、危険な行為を一度も見せたことのない罪もない犬が、飼い主の元から引き離され、殺処分というケースは山ほどあります。ここでも以前紹介したアイルランドの「レノックス」は、禁止犬種に見えるだけで殺されました(*BSLの詳しい情報は下記から)。
 さて、ここでの問題は、特定の犬種を一括りにして「全部危険」とみなせるかです。私は今までに仕事で数千頭以上の犬を扱ってきましたが、確かに危険な犬に出会いました。BSLに含まれる犬種もいました。しかし、巷でファミリーペットと言われる犬種もたくさんいました。愛犬ノアは、危険な犬ではありません。彼を危険とみなすなら、世の中のほとんどの犬が危険な犬の部類に入ります。しかし、ノアは犬種としては世界中のほぼすべてのBSLで危険犬種と指定された犬種です。
 危険な犬の裏には必ず人間がいます。そしてその人間が「危険」を作ります。責任を持って育てられない人間、犬をあえて危険に訓練する人間。犬が危険に生まれるのではなく、人間が危険な犬を作り出すのです。行政は、一括りにして規制するのは簡単でしょう。しかし、その裏で大切な愛犬を取り上げられ、悲痛な思いをしている家族、罪もないのに規制犬種ということで無残に殺処分される犬、世間から差別され苦しむ飼い主がいることを忘れないでほしいのです。世の中を良くするための規制なら正しい規制を作るべきです。
 この特定犬種への差別と規制法に怒り、悲しむ私ですが、幸いなのは皮肉にも当の犬たちがまったく知らないという点です。彼らが「犬種ということだけで差別する人間の醜い部分」を知らないということだけが本当に救いかもしれません。
 次回は、「噛む犬・噛ませる人間」の話です。お楽しみに!
「僕は危険ですか?」
Photo © Maho Teraguchi

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てらぐちまほ:在米27年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

2016年4月1日金曜日

第90回「暮らしやすい犬」

世の中にパーフェクトな人間などいないというのは私の持論ですが、パーフェクトな犬はいると思います。しかし、いくら親ばかな私でも、我が愛犬ノアをパーフェクトな犬とは思っていませんが、ノアは大変「暮らしやすい犬」で、彼を一言で表現する時にその言葉が一番に浮かびます。今回は、愛犬ノアが一番誇れる「暮らしやすさ」についてのお話です。

番犬にならない…

 ニューヨークにいた時も、LAに越して来てからも、よくご近所さんに「ノア家にいるの?」と聞かれます。ノアがいつも静かなので不思議なようです。基本的に、私は愛犬を家の中で走り回らせたり、遊んで暴れたりさせません。体の運動は外、家は静かにくつろぐ場、または頭の体操だけの場としています。家に遊びに来る人たちが、ノアが家で静かなので面白くないと言うこともありますが、お客さんが来た時だけOKという理屈は犬に通じないし、混乱させるのが嫌で、極力基本ルールは守らせるという考えです。また、愛犬が家の中で収拾がつかないほどやんちゃでは毎日の生活が大変です。愛犬が家でリラックスしていれば、自分の生活も楽になり、相互効果になります。
 ノアが静かなのは、彼が年に1-2度しか吠えないからでもあります。そういう意味では番犬にならないのですが、それよりも、住宅が密集した都会生活をする上で、近所に迷惑をかけることがなく、大変助かっています。
 また、毎日のルーティンを把握しているので、その通りに行動してくれるのも楽です。ノアは留守番が大得意で、後追いして吠えたり泣いたりは一切せず、また留守中に家の中で悪戯もしません。トイレも絶対に外なので、一度も家を汚したことがありません。そのお陰で、一日家を空けている私は安心して外で頑張れるわけです。
 またノアは人を恐れないので、どんな人間に対しても友好的に接することができ、小さい子供でも安心してそばにいさせられるのは大利点です。

社会化・社会性

 上記からもわかるように、「暮らしやすい犬」という条件は「社会性があるか、社会化されているか」に関わってきます。私は、常日頃から「愛犬に一番養わせてほしい要素は社会性」と説いていますが、人間社会の一員であるペット犬は、社会性が有るか無いかで、一緒に暮らしやすいかどうかの差がうんと変わります。シェルターにいた時にも、社会性が有る無いで新しい家が見つかる確率の差がかなりありました。

努力が実を結ぶ

 もちろん「暮らしやすい犬」の陰で、飼い主の努力がないわけではありません。毎日の十分な運動と遊び、さらに頭の刺激を提供し、栄養が行き届いた食事を与え、健康管理を怠らず、良し悪しをきちんと教え、飼い主との上下関係をきちんと築く。また、飼い主の私が常に心身共にバランスの取れた健康状態でいることを心掛けています。愛犬が常に安心感を持てる環境を提供するのは、飼い主の器量です。しかし、これは普通の飼い主が普通にすべきことで、これらを楽しんでできないと、犬との暮らしは窮屈なはず。こういうことを「普通」と思え、楽しめたら「暮らしやすい犬」が育ち、そんな犬との楽しい生活ができるのだと思います。私の場合、ノアのDNAがよかったラッキーな飼い主ですが、愛犬との間で意思疎通がよくでき、以心伝心の関係まで持っていけたら「暮らしやすい犬」との生活に辿り着くのだと思います。
 次回は、『The Champions』というドキュメンタリー映画についてお話します。お楽しみに!
寝るのが仕事
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てらぐちまほ:在米27年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

2015年11月5日木曜日

第86回「カリフォルニアのビーチ事情」

颯爽とかっこよくサーフボードに乗りサーフィンする犬。砂浜で仲間と楽しそうにたわむれ、水しぶきを浴びながら海の中に走って行く犬。真っ赤なサンセットを背中に飼い主とのんびり砂浜を散歩する犬。カリフォルニアのビーチでは、犬と飼い主が、生活の一部として海を満喫しているイメージがありますが、実はそうではないのです。今回は、意外なカリフォルニアのビーチ事情についてお話します。

行けども行けども

ジュリエットを飼い始めた直後のことです。「さあ、憧れだった”愛犬とビーチで海水浴“を楽しもう!」と意気込んで車を走らせ海に向かいました。下調べもせずに行ってみると、どこもかしこも「犬禁止」のサインが。ジャージー・ショアと呼ばれるニュージャージー州の長い海岸線のビーチを上から一つ一つ当たりましたが、行けども行けども「犬禁止」。唯一OKだったのが、州立公園のビーチのみ。それからと言うもの、泳ぐのが大好きだったジュリエットを連れて行くのは、もっぱら山の中の川か湖でした。 

ニューヨークに越してからも、事情はほとんど変わらず、数少ない「犬天国ビーチ」であるファイアー・アイランドにだけノアを何度か連れて行きました。この島に行く公共のフェリーボートには犬が同乗でき、「DOG」と記された犬用の切符と犬の料金もあり、そのドッグ・フレンドリーさには顔がほころびました。

犬天国ビーチ

さて、カリフォルニアで見つけた今の住居。付近にある数々の絶景のビーチへは20~30分の距離という便利さ。しかし、「カリフォルニアのビーチは犬と飼い主の生活の一部」というイメージはほぼ夢であったことが判明。所変わっても事情は同じで、衛生面の理由からほとんどのビーチが、砂浜と海水への犬の立ち入りを禁止しています。

そんな犬に悪状況のカリフォルニアでも、評判高いドッグビーチがあると噂を聞きました。一つはLong Beach Dog Beach (www.hautedogs.org/beach.html)。もう一つは、Huntington Beach Dog Beach (www.dogbeach.org) です。この二つのビーチでは、犬も自由に砂浜を駆け回り、海に入ってじゃぶじゃぶ泳ぐことが出来ます。週末はもちろんのこと、平日でも、これらのビーチには、海と自由を満喫する犬とその飼い主がたくさん訪れ、いつもにぎわっています。しかし、美しいカリフォルニアのビーチを犬天国と楽しめるのも、その裏で多大な努力をしている人々がいるからです。これらのドッグビーチは、犬と海をこよなく愛するボランティア団体によって作られ、守られています。彼らが市を説得し、権利を勝ち取ったと言っても過言ではないのです。犬が入れるエリアはきちんと区切られ、また、そのエリアの使用に関して厳しく細かいルールが設けられています。ルールが守れないなら立ち入り禁止。まさしく、それは、海と犬を愛する人たちの自由を守る努力です。

犬好きでなくても、犬天国のビーチを楽しむ犬と飼い主たちの姿を見ていると思わず顔がほころぶもの。機会があれば是非一度訪れてみてください。

次回は、「嫌な犬」と題し、日頃困った気持ちにさせられる犬についての話です。お楽しみに!


ビーチで愛犬ノアと遊ぶ著者

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てらぐちまほ:在米27年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com


2015年10月5日月曜日

第85回「飼い主の期待」

親なら子供が生まれた時、その子にさまざまな期待を託すでしょう。「頭のいい子になりますよう」「大物になってほしい!」「優しい子になってください」など。同様に、犬の飼い主も愛犬にさまざまな期待を抱いているのでは?今回は、「飼い主の期待」と題し、自分の懺悔的経験を基に、飼い主の期待がもたらす愛犬との関係についてをお話します。

余裕ができたら

やっと犬を飼うことを決意し迎え入れたジュリエット。そんな彼女との暮らしは、どちらかと言うと無我夢中で、彼女に対してあれこれ期待を持ったという記憶はありません。というのも、ジュリエットは私と出会う前は、人間から拷問、虐待を受ける生活で、飼い主から社会性を学ぶ機会や、十分な運動、また愛情さえも与えられたことなし。期待を抱くより、普通に楽しく暮らせればそれでいい、という気持ちが一番でした。ところが、現在の愛犬ノアをアダプトした頃は、自分に「犬と暮らす」という点で余裕があったために、その頃成長期真っ盛りの彼への期待が、それはそれはたくさんありました。

実はノアと出会う数年前に、その当時通っていたアニマル・シェルターで、「これぞ理想の犬!」という犬を見つけました。当時は高齢のジュリエットとの二人暮らし。残念ながら、どう頑張ってもジュリエットより一回り大きいエネルギー溢れる若い雄犬を迎え入れることは無理でした。しかし、それからも私の頭の中には偶像化したその犬のことが頭の片隅にありました。

何か違う

その理想犬は、なんとも自信に満ち溢れた犬でした。といって他者に恐怖感を与えるようなことはまったくなく超社交的なのですが、実に堂々としていました。だから私は、容姿の似たノアを同じような性質だと勝手に思い込んで、自信に満ちた犬になるのだろうと、大きな期待を抱いていたのです。それもそのはず。うちに来る前に付けられていた名前は「マッチョ(逞しい男)」でした。しかし、実はノアはアメリカで言うなら「チキン」そのもの。体は大きいのに、気の小さい弱心者。ビビリ光線を発しまくるので、いじめるタイプの犬たちに何度も襲われています。私の中で「何かが違う」というギャップを感じていたのは確かです。にも関わらず、勝手に自分の枠に入れようとしていました。しかし、ノアはノア。私の期待に沿えないことは沿えないと、彼なりの意思表示や反発をし、しばらくはちぐはぐな関係が続きました。そのうち、私が「本当のノア」を見ることができ、彼のそのままを受け入れ、それを彼の長所と愛し始めたら、ノアとの関係はぐっと接近しました。

ノアは、牙を剥くことも、唸ることもしません。嫌なら逃げるか観念する。そんなノアですから、赤ちゃんでも、外で初めて会う人でも安心して遊ばせることができます。臆病だけど、ひょうきんで人懐っこいノア。彼のすべてが理解できる今は、以心伝心で何でも分かり合える関係になりました。相手に色々期待を抱くのも愛情のしるし。しかし、現実とのギャップと真っ直ぐ向き合うことが、飼い主の真の愛の証明ではないでしょうか。

*今号で執筆5年になりました。いつもご愛読ありがとうございます。これからも引き続き宜しくお願いします。次回は、「CAビーチ事情」と題し、カリフォルニアのビーチと犬についての話です。お楽しみに!



お互いの長所も短所も全部把握し合った仲に

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てらぐちまほ:在米27年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

2015年3月5日木曜日

第78回「愛犬と家探し」

ニューヨークで条件に合った賃貸物件を探すのは至難の業。これは、犬の飼い主であるなしに関わらず言えることですが、そこに犬、それも大型犬の飼い主という条件がつけば、ほとんど不可能に近い話です。その苦労体験談は、数年前にここでも記事にし、紹介しました。それがまた、ここ新天地LAでも同じように「このまま家が見つからず、路頭に迷うかも…」と言う大変な思いをするはめに…。今回は、去年の秋に再び体験した大型犬との家探しの苦労談をお話します。

所変われば?

ここカリフォルニアでの賃貸物件探しは、所変わればシステムも違い、至るところで「For Rent」のサインを目にし、直接管理オフィスに交渉に行けます。アプリケーションが承認されたら即入居OKという例も珍しくありません。今回、もし私に大型犬の飼い主という条件がついていなければ、きっと2、3日中に気に入った物件に巡り会え、即引越しという運びになっていたかも。しかし、私にその条件削除はありえません。大事な家族である大型犬ノアと安心して住める場所を見つけなければいけない…。予想はしていましたが、その過程はとてつもない「いばらの道」でした。

まず、ペットOK の物件はここでも希少。あった!と喜んでも、猫か小型犬のみというところばかり。一度は小型犬のみというところの管理人さんと討論にもなりました。サイズではなく行儀の良さではないか?という私に、言い分は分かるが、住人は犬好きばかりではなく、管理する方としては全体のバランスを考えてルールを決めていると。また、サイズ関係なしという朗報が入り、そこのペットルールを見せてもらうと、「どういうこと?」という程の犬種の制限付き。飼える犬種と言えば、結局小型犬かディズニー映画やCMに登場するリトリバー系のみという程の犬種規制ぶりでした。

そんな悪状況の中でも、「どんな犬種、サイズもOK」な物件にも出会うのですが、治安が心配な地域であったり、家自体が「住めないかも…」という程手入れされていない物件だったりというわけです。

奇跡の物件!

そんなある日、お願いしていたエージェントの方から「きっと気に入る物件があるので見に来ますか?」と。聞けばペットOKと。早速アポを取り内覧に出かけました。するとその物件は、奇跡! というようなものでした。見た瞬間に「ここに住みたい」と切望しましたが、果たして大型犬、ピットブルという犬種は大丈夫なのだろうか…。エージェントの方が管理オフィスに確認している数時間、期待と不安が駆け巡りました。なんと奇跡的にサイズも犬種も規制なしという返答があり、肩から力がどっと抜け、足が宙に浮いて踊る程の喜びに変わりました。

いつも思うのは、犬の飼い主がどうしてこうまで大変な思いをせねばならないのかということ。でも、それは同志の飼い主が起こしている問題でもあるので、「自分は完璧な飼い主」と思っていても、どんな時でも、どんなことにも責任ある飼い主という姿勢を貫き通さねばならないと痛感しました。また、それらの規制も統計に基づいているものであり、やはり周りの同志と共に向上し、素晴らしい犬の飼い主人口を広げていけば、もっと暮しやすい世界に変わっていくのではと思います。

さて、新天地で快適な新居が決まった今、ノアと私はと言うと、カリフォルニアに求めて戻ってきた「ゆとり」を毎日ひしひしと感じながら、楽しい生活を送っています。

次回は、「犬と性別」と題し、犬の性別による違い、また犬が人間の性別に対してする反応の違いなどについてお話しします。お楽しみに!



新しいアパートの敷地内には至るところにこのような犬用ゴミ箱が

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てらぐちまほ:在米26年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com


2015年2月3日火曜日

第77回「愛犬と大陸横断(後編)」

2014年の一大イベントに、秋に実現させた愛犬との大陸横断引っ越しがありました。実は、車での大陸横断引っ越しは15年前にも経験済み。その時は、西から東へ。今回は東から西へ。しかも、今回は犬連れでの旅。果たして無事に完走できるのだろうか…という一抹の不安も襲いましたが、「何が何でもやるしかない!」という意気込みでとにかく出発しました。

不安と興奮が半々の出発でしたが、蓋を開けてみれば全てが計画通りに運んだ旅。途中で車も人もエンストするというようなハプニングもなく、なんなく完走。ほとんどが順調だったこの旅ですが、一つ困ったのは食事でした。この旅行中、愛犬ノアが生活の変化から来る緊張やストレスで、ほとんど食事をしなくて、とても心配したことは前回の記事で触れましたが、食事に関しては人間側もかなり苦労しました。秋という季節柄、外に出されているテーブルなどで、犬連れで食事をすることが不可能。今回はノアにとっても普段と違うドキドキの毎日ということもあり、一人にして不安にさせないようにしたかったので、ノアを残して人間だけ出かけることは避けました。そこで取った私たちの策はと言うと、旅に同行してくれた友人が一人でレストランに入り食事しながら、私用のテイクアウトを注文。私はそれを車やホテルで食べるという、人間側から見れば淋しい食事の仕方でした。やがて、旅の後半で西に向かって行くと気温も上がり、外での食事が出来るようになり、ようやく皆でテーブルを囲んで楽しいひと時がもてました。

ホテルはペット大歓迎

出発前一番心配したのが、宿泊先のことでした。周りからペット・フレンドリー・ホテルがたくさんあることは聞いていましたが、事前に調べたホテルが本当にペット歓迎か、サイズや犬種の規制は厳しいのか。また、計画した距離を予定通り走って予約した宿にたどり着けるか。逃したらペット可のホテルが簡単に見つけられるか。最悪は車で一夜を明かすことになるのか。など色んな不安が頭を過ぎりました。でも、そんな心配はただの取り越し苦労で終わり、事前に情報を得ていたチェーンのホテルは、どこも広告通りペット可、というより大歓迎でした。ちなみに利用したのは、La Quinta Inn & Suites、Red Roof Inn、Days Inn、Motel 6です。他にもEcono LodgeやHoliday Inn、また大手のHiltonやSheraton Hotelでもペットとの宿泊オーケーのようです。本当に愛犬と旅行がしやすい世の中になりました!

この旅で得たもの

この貴重な体験で得たものが一杯あります。同行してくれた友人との車中での人生論。短期間でアメリカの端から端をダイジェスト版のように味わったこと。自分の体力・気力をあらためて知ることができたこと。しかし、何と言っても一番貴重だったのは、ノアとの絆が一層深められたことでした。ノアは状況がどうであれ「母」である私がいれば安心ということを覚え、私は予想以上の頑張りで、この旅を見事に乗り切ったノアへの誇りと信頼度がぐんとアップしました。いつかまた、ノアとの大陸横断旅行をすることになるのかは分かりませんが、ノアも私も、力を合わせて何でも乗り越えられるという大きな自信が出来ました。

次回は、「犬と家探し」と題し、新天地LAでの犬連れの物件探しの苦労と飼い主のあり方についてお話しします。お楽しみに!


「僕も立派な宿泊客です」と威張る著者の愛犬ノア

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てらぐちまほ:在米26年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project(www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからLAに拠点を移し活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

2015年1月5日月曜日

第76回「愛犬と大陸横断(前編)」

1999年2月にカリフォルニア州からニューヨーク市に引っ越してくる際、車で大陸横断をしました。確か16州を1週間弱で走り抜けた記憶があります。それから15年後の2014年の秋に、今度はニューヨーク市からカリフォルニア州に引っ越すことになり、再度車で大陸横断することにしました。今回は愛犬ノアを連れての引っ越し。もちろん不安がなかったとは言えません。しかし、蓋を開けてみると全て滞りなく計画通りに進み、本当にスムーズな旅になりました。今回は、その体験談を「愛犬と車で大陸横断の旅」と題し2号に渡りお届けします。

車とノア

ニューヨークで生活していると、車を持っている方がかえって面倒になることが多く、普段ほとんど使わない車を処分しました。ノアはうちにやって来てからほとんど私と車に乗る機会がなく、彼にとって車に乗るのは特別なこと。その度に大興奮でした。「これでは大陸横断の旅が大変だ…。旅まで特訓!」と早めに車をゲットし、文字通り毎日ノアとの車の特訓が始まりました。安全第一のために、運転席や助手席に来ないように犬用のバリアを設置。また、急ブレーキで転倒しないように犬用シートベルトを購入し、必ず着用させることにしました。この効果は大きく、ノアの中で「運転中は絶対に私の近くに来て邪魔できない」というコンセプトが即通じました。私の方でもどんな場合でも一切助手席に来させることは止め、「前部はオフ・リミット」と叩きこませました。少し退屈になったら鼻をクーンクーン鳴らすことがあっても、結局、未だに前部に来ようと試みたことがありません。また、出発前の特訓の効果があって、長距離ドライブ中、スピードが出るとすぐに後部座席で熟睡するようになりました。それがあまりに静かなので、途中何度も振り返り、ノアがちゃんと居るか確認したくらいでした。

ノアの食事

この旅で一番困ったのが「食事」だったかもしれません。それはノア自身の食事に関しても、同行してくれた友達たちと私の間での食事に関しても言えることでした。とにかくノアの食事には困りました。うちの場合、日頃はホームメードの食事を食べているため、旅行中の代用食探しが必要でした。見かけによらずノアはピッキーで、嫌なものには顔を背けてしまいます。事前に色々なフードを試食させ、旅行中の代用に使えるもの探しをしましたが、どれもだめ。悩んでいた私に友人が、「真夏でもないからいつもの自家製フードをカチカチに凍らせてクーラーで持って行けば?」と提案してくれました。よく考えればホテルにつけば冷蔵庫はあるし、氷を毎日変えることも可能。結局、自家製フードを1週間分程作って持っていくことにしました。しかし、肝心のノアは旅行中全く食事をしませんでした。がつがつとキレイに完食したのは多分一度か二度。毎日変わる土地にホテル、また1日のほとんどを車の中で過ごすという日々で精神的にかなり参っていたようです。私の食べ物のお裾分けなら少しは口にするものの、水とおやつだけの毎日が続きとても心配でした。でも「絶対必要」となればそのうち食らいついてくるだろうと私も腹を括りました。結局ノアが普通に食事をしたのは目的地のカリフォルニアに到着して2日目のことでした。

次回も引き続き、「愛犬と車で大陸横断の旅」をお届けします。お楽しみに!


アリゾナ州セドナの壮大な景色をバックに大喜びのノア

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てらぐちまほ:在米26年。かつては人間の専門家を目指し文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人ではDoggie Project (www.doggieproject.com)というビジネスを設立。犬のトレーニングや問題行動解決サービスを提供している。今は、15年住み慣れた東海岸を離れ、愛犬ノアとLAに移転して活躍中。ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com